出逢ってから七年の時が過ぎていった。
あいかわらず、たまにメールを交わすだけだったが、それでも二人の関係は続いていた。
秋も深まる頃… タカからのメールが毎晩届くようになった。 身近にあった出来事などのありふれた内容だったが、
どういう風の吹き回し? とユリは思ったけど、内心とても嬉しかった。
そんなある日の夜、タカから『逢いたい』とメールが来たのだ。
突然のことに驚くユリ。
『何処にいるの?』と聞くと 『出張で近くに来てる』と言う。
ユリは逢いに行きたかった。 すぐにでも『逢いたい』と言いたかった。 でも 『またこんな機会がある?』と聞いた。
『わからない』
『じゃあ行く』
また母に嘘をつくことになる。 だけど、今逢いに行かなければもう逢える機会は二度とないかもしれない。
ユリは母に留守を頼み、子供達が寝た後、タカがいる街まで車を走らせた。
タカに逢える。 今度こそ間違いなく。
一時間… 一時間後にはタカがいるビジネスホテルに着くんだ。
ユリはタカに逢えることだけを考えた。 一分でも早くタカに逢いたい。
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