出逢ってから二度目の夏。
タカに対しての気持ちが大きくなったユリは、どうしてもタカに逢いたくなった。 学生時代の友人に会うと嘘をつき、娘達を母に頼み、土曜日の夜の国道をタカの住む街に向かって車を走らせた。
『これから逢いに行くから』とメールを送って。
夜の国道。 スピードをあげて走り去る車。 知らない街。 着くかどうかわからない不安。
「よく来たね」 タカがそう言ってくれるのを期待していた。
三時間程、車を走らせてタカの住む街に着いた。 ドキドキしながら電話を掛ける。
だが、電話の声は 『電源が入っていない』ことを冷たく伝えるものだった。
どうして? 仕事の後なら逢えるって言ってたよね? 私、逢いに来たんだよ?
ユリは信じられなかった。 何度もリダイヤルボタンを押した。 何度も同じ声が返ってきた。
絶望と悲しみに体中の力が抜けた。 涙さえ出てこない…
私は何をしにここまで来たのだろう。 タカは喜んで迎えてくれるものだとばかり思っていたのに。
ユリは走ってきた真夜中の国道を戻って行った。
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