20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ
 ようこそゲストさん トップページへ ご利用方法 Q&A 操作マニュアル パスワードを忘れた
 ■ 目次へ

作品名:繋がる空 作者:

第6回  

出逢ってから二度目の夏。

タカに対しての気持ちが大きくなったユリは、どうしてもタカに逢いたくなった。
学生時代の友人に会うと嘘をつき、娘達を母に頼み、土曜日の夜の国道をタカの住む街に向かって車を走らせた。

『これから逢いに行くから』とメールを送って。

夜の国道。
スピードをあげて走り去る車。
知らない街。
着くかどうかわからない不安。

「よく来たね」
タカがそう言ってくれるのを期待していた。

三時間程、車を走らせてタカの住む街に着いた。
ドキドキしながら電話を掛ける。

だが、電話の声は
『電源が入っていない』ことを冷たく伝えるものだった。

どうして?
仕事の後なら逢えるって言ってたよね?
私、逢いに来たんだよ?

ユリは信じられなかった。
何度もリダイヤルボタンを押した。
何度も同じ声が返ってきた。

絶望と悲しみに体中の力が抜けた。
涙さえ出てこない…

私は何をしにここまで来たのだろう。
タカは喜んで迎えてくれるものだとばかり思っていたのに。

ユリは走ってきた真夜中の国道を戻って行った。


← 前の回  次の回 → ■ 目次

■ 20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ トップページ
アクセス: 2094