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作品名:繋がる空 作者:

第5回  

楽しかった毎日も、秋になる頃にはタカの仕事が忙しくなり、メールも途切れ途切れになった。

その頃からユリは、子供達が寝静まった後、毎晩のように寂しさでこっそり泣いていた。
家事をしながらも自然と涙が溢れてくる。
溢れそうになる涙を堪え、空をよく見上げた。
「ああ。空ってこんなに青かったんだ。」ユリは初めて空の青さに気付いた。

メールの来ない日々。
寂しさ募る毎日。
それでもたまに電話が来ると、幸せだった。
優しい声。
楽しい話しに笑ってばかりだ。
時には朝方まで話しをしていたこともあった。
二人とも寝不足で仕事中、睡魔に襲われて大変だったよね。

出逢って初めての冬。
タカの初めての誕生日。
ユリには何もしてあげることができない。
せめて心を込めてメッセージだけでもと思いメールを送った。
『お誕生日おめでとう。何もしてあげられないけど、おめでとうの言葉だけ贈ります。』

夜遅くに、タカからの返信。
『今日はありがとう。自分の方こそ何もしてあげられないのに。ユリからのメールで幸せな一日だったよ。』

ユリは嬉しかった。タカが喜んでくれたこと。
そして、タカに恋している自分に気がついたのだった。


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