楽しかった毎日も、秋になる頃にはタカの仕事が忙しくなり、メールも途切れ途切れになった。
その頃からユリは、子供達が寝静まった後、毎晩のように寂しさでこっそり泣いていた。 家事をしながらも自然と涙が溢れてくる。 溢れそうになる涙を堪え、空をよく見上げた。 「ああ。空ってこんなに青かったんだ。」ユリは初めて空の青さに気付いた。
メールの来ない日々。 寂しさ募る毎日。 それでもたまに電話が来ると、幸せだった。 優しい声。 楽しい話しに笑ってばかりだ。 時には朝方まで話しをしていたこともあった。 二人とも寝不足で仕事中、睡魔に襲われて大変だったよね。
出逢って初めての冬。 タカの初めての誕生日。 ユリには何もしてあげることができない。 せめて心を込めてメッセージだけでもと思いメールを送った。 『お誕生日おめでとう。何もしてあげられないけど、おめでとうの言葉だけ贈ります。』
夜遅くに、タカからの返信。 『今日はありがとう。自分の方こそ何もしてあげられないのに。ユリからのメールで幸せな一日だったよ。』
ユリは嬉しかった。タカが喜んでくれたこと。 そして、タカに恋している自分に気がついたのだった。
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