20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ
 ようこそゲストさん トップページへ ご利用方法 Q&A 操作マニュアル パスワードを忘れた
 ■ 目次へ

作品名:繋がる空 作者:

第4回   タカ

タカが結婚をしたのは21歳の時だった。ユリと同じくデキ婚である。

タカには息子と娘がいて、29歳の時に離婚し、帰宅時間が遅いこともあり、実家で両親の手を借りながら育てている。
父の日にはプレゼントをくれる、心優しい子供達だ。
『ネクタイとパジャマをもらった。』と喜んでいたこともあった。
母親がいない寂しさを決して口に出したりはしないでいるようだ。

タカは離婚の理由を話したがらない。
『意地もあって別れた。』と言っていた。
『結婚当初は子供の面倒もよくみたけど、だんだん仕事が忙しくなっちゃって…』とも。

一度だけ
「愛ってなんですか?」
と寂しそうに言ったことがあった。
ユリは答えられなかった。
ユリにも愛とはどんなものなのか、よくわからなかったのだ。

タカには、どんな過去があるのだろう。
ユリは気になった。だが聞くことはできなかった。
聞いてはいけないんだと感じた。
きっと深い悲しみを経験したに違いない。
そう思うことにした。


← 前の回  次の回 → ■ 目次

■ 20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ トップページ
アクセス: 2094