ユリが結婚をしたのはユリが二十歳の時だった。 いわゆるデキ婚である。 若い二人だったが、『神様からの贈り物を大切にしよう。』 夫のその言葉で結婚を決意した。 間もなく長女が産まれ、可愛い娘と優しい夫の三人で幸せな日々を送っていた。
一つ上の夫は、普段は優しくおとなしいのだが、お酒を飲むと人が変わったようになる。
そのことにユリが気付いたのは、結婚して三年が過ぎた頃だった。 二人目の娘が産まれ、家族四人での生活が始まって間もなくのことだった。
会社内でのトラブルが原因だった。 それまでお酒はつきあいでしか飲まなかった。 トラブルがあってからは毎晩、夫は会社の愚痴をこぼしお酒を飲んでは暴言を吐いた。 夫のお酒を飲む日々は続く。 子供が物心つく頃には「パパ嫌い」と言うようになった。
そのうち外で飲んで帰るようになり、ひどい時は朝帰りだ。 そんな父親を、娘達は成長していく過程でどんどん嫌いになっていった。
父親の顔色を見ながら過ごす毎日。 『このままでは自分も娘達も駄目になってしまう』 ユリは次女が小学校を卒業したのを機に離婚を決意した。
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