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作品名:繋がる空 作者:

第12回   別れ

ユリは悔やんだ。

どうしてあの日、
「仕事のほうはどうなの?」
と聞いてあげなかったんだろう。
気に掛かっていても、研修に来たのだからと安心してしまっていた。
もしあの時、少しでも話しを聞いてあげていたら…

あの夜から数回メールを交わしたが、ユリがメールを送ってもタカからの返事が来なくなった。

返事が来ないままタカの誕生日が来た。

いつものように
『おめでとう』メールを送った。

タカからの返事。

『ユリからのメールは読んでいなかった。こんな大事な時期に仕事辞めてしまって。ごめん。ユリがいると、あまえてしまう自分がいるから。』

ユリは何も言えなかった。
タカにはタカの生活があるんだ。
私には何もできないんだね。
もしタカが、私を必要としてくれたなら、タカの元に行ったのに…

ユリは悲しかった。
辛かった。

どんなに自分が好きでいても、伝わらない気持ちもあるんだと気づいた。
もうタカを待つのはやめにしよう…

それから少し経って、一度だけタカにメールを送った。

『もうメールしないね。今までありがとう。元気でね。』


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