ユリは悔やんだ。
どうしてあの日、 「仕事のほうはどうなの?」 と聞いてあげなかったんだろう。 気に掛かっていても、研修に来たのだからと安心してしまっていた。 もしあの時、少しでも話しを聞いてあげていたら…
あの夜から数回メールを交わしたが、ユリがメールを送ってもタカからの返事が来なくなった。
返事が来ないままタカの誕生日が来た。
いつものように 『おめでとう』メールを送った。
タカからの返事。
『ユリからのメールは読んでいなかった。こんな大事な時期に仕事辞めてしまって。ごめん。ユリがいると、あまえてしまう自分がいるから。』
ユリは何も言えなかった。 タカにはタカの生活があるんだ。 私には何もできないんだね。 もしタカが、私を必要としてくれたなら、タカの元に行ったのに…
ユリは悲しかった。 辛かった。
どんなに自分が好きでいても、伝わらない気持ちもあるんだと気づいた。 もうタカを待つのはやめにしよう…
それから少し経って、一度だけタカにメールを送った。
『もうメールしないね。今までありがとう。元気でね。』
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