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作品名:繋がる空 作者:

第10回   キス

ホテルの部屋に来てから、どれくらいの時間が流れただろう。
タカが声を掛ける。

「こっちに来る?」

頷くユリ。

タカの隣に座る。
胸のドキドキが聴こえてしまいそうなくらいだ。

タカの腕がユリの肩に回される。
タカの肩にもたれ掛かるユリ。
ユリは静かに目を閉じる。

「ユリ」

ユリを呼ぶタカの優しい声。

顔を上げたユリ。
みつめ合う二人。

初めての優しいキス。
何度もキスを交わし二人は愛し合った。
七年の時を埋めるかのように…

タカの腕の中でユリは幸せだった。

「七夕の願い事は何?」
タカに聞かれたことがあったっけ。

「私の願いは、ただ一つ。あなたに逢いたい。」

「いつか叶うよ。きっと。」

タカのその言葉通り願いが叶ったんだ。
今こうしてタカの隣にいる。

幾度となく夢見ていたけれど、これは夢なんかじゃない。
タカの匂い。
温もりが愛おしい。

一度は信じることさえできなくなったユリだが、今はそんなことは忘れてしまった。
目の前にいるタカを愛している。

ユリは幸せだった。
このまま時が止まってしまえばいいとさえ思った。


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