ホテルの部屋に来てから、どれくらいの時間が流れただろう。 タカが声を掛ける。
「こっちに来る?」
頷くユリ。
タカの隣に座る。 胸のドキドキが聴こえてしまいそうなくらいだ。
タカの腕がユリの肩に回される。 タカの肩にもたれ掛かるユリ。 ユリは静かに目を閉じる。
「ユリ」
ユリを呼ぶタカの優しい声。
顔を上げたユリ。 みつめ合う二人。
初めての優しいキス。 何度もキスを交わし二人は愛し合った。 七年の時を埋めるかのように…
タカの腕の中でユリは幸せだった。
「七夕の願い事は何?」 タカに聞かれたことがあったっけ。
「私の願いは、ただ一つ。あなたに逢いたい。」
「いつか叶うよ。きっと。」
タカのその言葉通り願いが叶ったんだ。 今こうしてタカの隣にいる。
幾度となく夢見ていたけれど、これは夢なんかじゃない。 タカの匂い。 温もりが愛おしい。
一度は信じることさえできなくなったユリだが、今はそんなことは忘れてしまった。 目の前にいるタカを愛している。
ユリは幸せだった。 このまま時が止まってしまえばいいとさえ思った。
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