しばらくの雑談会議を終わらせた俺たちは少年が化石を掘り出したという穴をさらに掘り進めていた。 ここから何か出てくるというのはアニメとかそういう… 「あった!!」 その声に俺と高野は長井のほうに視線を向けた。 長井の手には一冊の本が握られていた。 こいつにはとんでもないほど強い運があるのかもしれない。 出てこないであろうと心の中で言おうと思った瞬間に探し当てる脅威の運であった、出てくるまでの所要時間なんと1分。 考えられない。 これだけ簡単に見つかるなら最初に資料を見つけた少年がこれを見つけられるのでは? 素朴な疑問を抱いた俺を尻目に長井ははしゃいでいた。 「僕が見つけたんです!僕がこれを見つけたんです!」いったい何回このフレーズを繰り返し言うのだろうか?はしゃぎ続ける長井に高野が怒るのは時間の問題だった。 長井が空気を読んだのかどうか分からないがまた怖い面構えに戻り見つけた資料を高野に渡していた。 資料の表紙には薄れた字で『武田家ノ歴史』と書いていた、それの表紙を高野が開こうとした瞬間遠くから声が聞こえてきた。 俺らが辺りを見回すと100mほど先に男が見えた、最初は小さい声で何を言っているのか聞き取る事ができなかったが男が近づいてくるうちにだんだんと聞こえてきた。 「…待て…待ってくれ…それはお前らが見るようなものではない…」 俺の目には鎧を着て刀を差している男が写っていた。 何だこいつは?歴史オタクか?だがその割には顔が深刻だった。 しかも刺し傷が数箇所もありその様は戦いから帰ってきた武将のようであった。 唖然とする俺たちに構わず男は喋り出した。 「拙者武田勝頼と申す、お前たちはこの時代の人間であろう。拙者の命もあと僅かであろう。だがその前にお前たちに聞く誰が変えたのだ?なぜ拙者の敗北なのだ?これを解いてくれ-------------」 『Выберите пренебрежение к жертвенному』 武田勝頼と名乗った男は意味不明な文字を書き残して力尽きた。 男の周りは傷口からの大量の出血で赤く染まっていた。 いきなり出てきた男の話を信用するのはどうかとも思ったのだが彼が書いた謎の文字、発掘された歴史資料、先程探り当てた資料、同時にこれらが出てくると言う事は過去の人間は現在の人間へなにか伝えたいのではないか? これは過去から現在へのメッセージではないか? 俺がそのメッセージの謎を解くことですべての真実を知る事ができる。 俺は彼が書いた謎の文字をメモして先程発掘した資料を高野からひったくってジープに乗った。 早く運転しろ、という合図を無言で長井に送った。
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