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作品名:dissuised spy 〜偽装工作〜 作者:壱弐

第1回   歴史資料
天正三年五月二十一日
設楽原で行われた長篠の戦いでは、織田軍が圧倒的な強さで武田軍に大勝利した。
そう後の歴史には刻まれるであろう。
だがそれは間違いだ、この戦に勝利したのは武田軍なのである。
織田軍は大量の鉄砲や巧みな戦術で武田軍を圧倒した。
そう言われているが本当は鉄砲なんか一丁も無い貧乏装備で肝心の戦術も平凡、むしろ下の中くらいだ。
こんな織田軍が武田軍の精強騎馬軍団に勝てるわけが無い。
結果的で言うと織田軍は敗北し信長は逃走中に武田軍の家臣に捕らえられ最終的に首をはねられた。
ここではあえて後に語り継がれるであろう歴史のことを「嘘の歴史」と言うがその嘘の歴史では信長を捕らえた重臣も討ち死にしていた。
信長が殺されたと言う事は明智光秀による本能寺の変などさまざまな歴史が変わってきてしまう。
なぜそこまでして嘘の歴史を作り上げたかと言うと-----------

ここから先の文は何者かによって破り捨てられている。
一番重要な部分であったのに…
この文章が事実ならば長篠の戦い以降の歴史は誰が変えたのだろうか?
『国立西部京(せいぶきょう)大学考古学部准教授山中泰治』(やまなかはるお)は深いため息をついた。
先程の文章は先日化石探しをしていた少年が偶然見つけたものらしい。
もう考古学をやって十年にもなるがここまで興味深い歴史資料は始めて見た。


早速俺はこの世紀の大発見並みの資料を教授に報告するために教授室に向かい歩き出した。
教授室の周りは教会のような静けさに包まれていた。
やはり教授というのは言葉では表せないようなオーラが出ている。
教授室のドアをノックしてみると中から咳払いの後「はい」と低い声が聞こえてきた。
「山中です」と言うとさっきの低い声は嘘のようにいつもの教授の声へ戻っていた。
「入りたまえ」の合図と同時に俺はドアを開けた。
教授の高野はフレンドリーな笑顔で俺を見た。
俺は昔、高野が准教授のときの生徒であった。
高野学級での俺の成績がなかなかよかったため今でも俺は高野とうまくやってきている。
高野学級で成績の悪い生徒は一生と言っていいほど高野から疎まれる。
高野の真の姿は完璧主義の多重人格者かと思ったときもあった。
そんな高野に先程の文章の話をすると高野は驚いた表情を見せ俺の話に食いついてきた。
結局高野は俺に考古学部全体で偽装された歴史について調べようと言い出した。
こんな事から俺の歴史調査が始まった。















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