深夜三時・・・ 『おい、早く来いって』 一人の大男が草に隠れているもう一人の太った男を呼んだ。太った男は恐がっているのかなかなかとして草むらから出ようとはしない。それを見かねてたのか、大男の方が太った男の隠れる草陰に近寄り男の胸座を掴み立たせる。 『お前分かっているのか?』 大男の太った男への口調は、怒っているようにも聞こえたが、同時に焦っている様にも聞こえた。 『分かってはいるさ。・・・だけどばれたら、』太った男が言い切る前に大男が遮った。『だからって止めろと言うのか?』大男の声は大きくなる。『この儀式が駄目だったらおれ達は後が無くなるんだぞ。それがどんな意味を・・・男は頭を赤くして太った男に怒鳴りつけていたが、最後まで言い切る前に自分の声の大きさに気付いたのか深呼吸をして、小さな声で再び太った男に話しかける。 『ともかくとして落ち零れのおれ達にはこれしかないんだ』諭す様に太った男にそう言って大男はローブのポケットから銀色の石を取り出した。 『だけど・・・』 『もう何も言うな。行くぞ』 そういうと男は草陰から再び出て、中にはに向かって音を立てないようにひそりひそりと歩き出した。太った男もようやく決心がついたのか大男の後を追って中庭へと歩き出した。 まだ冬の寒さがのこっている2月。外はまだ当分明るみだし沿うには無かった。
|
|