18 めでたしや 印鑑替える 初雪に 「迎春」。月並みだが、賀状にはそれしか私は書きたくない。以前は何も考えずに人並みに年中行事をこなしていた。だが、めでたいことの有無など他に知らせる気持に今はならない。だから「おめでとう」の言葉すら書きたくないと思いつつ数年を過ごしていた。その間に多くの友達の賀状が来なくなっていた。それも望む通りと行っていい。 昔は夫の秋人の署名の横に自分の名を記し、それなり華やかな気分で一言二言書き添えていたものだ。しかし近頃はわずかになった自分の賀状でも年末までに書くなどしない。 今年も、元旦に送られて来た葉書に返事を書く感じだが、それも僅かになった賀状に対してすら選んで返事を出した。人付き合いなどを気にしなくなっているから、10枚も出さなかった。一頃の十分の一以下だ。滅多に会うこともない人で、元気だと知らせたい人にだけ出すのだ。気楽な今の感じがますます気に入っている。 三が日はもとより七草粥の七日になっても、いつもなら仕事を入れることはない。しかし、今度の仕事は私を名指した依頼だという。私は正月早々から仕事をする羽目になった。
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