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作品名:憧れ河 作者:あるが  まま

第31回   31 凍る道 手ついて進む 「あるがまま」
31 凍る道 手ついて進む 「あるがまま」

 私は、学生時代から今に至るも、ドジも含め、大して変らないままに生きてきた。  私は、虚仮(コケ)脅しも卑屈になるのも嫌だ。本音と建前を使い分けて頭を下げるなどもしない。どんな小さなことでも有難いと思えばこそ頭は下がる。面従腹背など出来ない。  人にぶら下がって生きて来なかったし、恩着せがましく生きても来なかった。  人と共感し合って生きたいと願って来た。自分の願いを伝え、人の悲しみ喜びを自分に重ねて生きようとして来た。お互い「迷惑」を掛け合って関りを深くしたいと思って来た。
 しかし、対手から見て不都合だったとしても、精一杯の私のそんな願いを頑なに否定する人とは別れる悲しさも味わって来た。それは相手が日本人でも中国人でも同じである。  要領が悪いのだとは思う。別れを惜しんで自分を曲げることも出来ない。勿論、別れた後で分かり合えるようになったら、また強い絆が出来るとの希望を捨てることもない。
中国生活を送る私に対し、「日本に帰れ」と忠告する人がいる。堂垣内だ。
「中国にいれば所詮他人に迷惑をかけるだけだ」と堂垣内は言う。「中国語も出来ないで何が日中友好か」とも断じる。言葉が出来ることは大事である。しかしそれが不可欠だと私は思わないが、堂垣内はそれを絶対条件の一つに上げる。  それぞれの人がその力量、条件に応じて外国人と交わっているのが現実でないか。言葉を習得してからしか外国人との交流は出来 ない、などと思っている人は少なかろう。


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