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作品名:憧れ河 作者:あるが  まま

第24回   24 「反核の」つづき
24 「反核の」つづき

一方で私は地域に入って原水爆禁止運動を宣伝し、大会参加者支援のカンパを集める活動の一端を担うことにもなった。学生だけでなく労働者等と一緒に政治活動、市民運動を進める場にいた。「原水爆禁止世界大会」が終ればその報告の責任も感じることになる。
その時に企画されたのが、「平和盆踊り」である。
国吉たちも賛成し具体化に向けての行動が開始された。そこで実施するには札幌市の「会場使用許可」を得なければならないことが分った。
札幌市の南北を分けるのが大通り公園で、すぐ近くに有名な「時計台」が場違いな感じで建っている。私は夏休みになる前から札幌市公園課に通った。公園課は大通りにあった。「盆踊り」に使うことを許可して貰うためだから、ここはひたすらお願いする外ない。窓口の若い係員はなかなか認めなかった。大学生に敵意を抱いている様子さえあった。
私たちが要望したのは偶々児童公園であった。それが使用禁止の一層の口実になった。
アパートを一緒に借りて三人で住んでいた相棒のガラさんとギャーは面白がって、「やれやれ」と応援した。
使用者である近所の人の同意を持って行こうとして、現地自治会長である大石家にも相談に行った。会長は少し小太りの高齢の女性であった。
大石は反対しないどころか気に入ってくれて、「やる時は私の家から電線を引きなさい」と言う回答まで寄越した。
「許可書」もやっと下りた。盆踊りだから日本の民間伝承文化を研究する北大の「民研」が指導を引き受けた。おまけにそこにいた一年後輩の南が建築業である父親に相談し櫓まで建ててくれると言う。宣伝ビラも出来上がった。多くの人の努力が重なり合った。
しかし「平和盆踊り」そのものはどうなるのか、見当がつかなかった。


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