20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ
 ようこそゲストさん トップページへ ご利用方法 Q&A 操作マニュアル パスワードを忘れた
 ■ 目次へ

作品名:憧れ河 作者:あるが  まま

第2回   2、 「とりどりの」 後半
2、 「とりどりの」 後半

5月の第1刷がすぐ売り切れ、第2刷の印刷までに一ヵ月半かかっていた。大月書店として久々の売れる本を目指している感じだ。「蟹工船」であれ「社会主義論」であれ、ブームが起きればそれに乗れるものは皆乗って欲しい、と私は思っている。
私は聴濤弘が日本共産党の理論政策委員長としてテレビに登場していた時は、物足りなかった。丁々発矢と論戦を切り返すタイプが好みで、口の重い聴濤が好きになれなかった。
この口の重さを含め聴濤の魅力に私が気づくのは、近頃になってやっとである。
手にしたばかりの聴濤の本の目次を丁寧に読み進んだ。
偉ら中国人留学生に私が勧めるやり方を私も試みる。
目次を読むだけでなく書き写すのがいい。その際に何が書かれているのか推測しておく。そして実際の読みを始めるのが学生の読みとして最も合理的だ、と私は主張する。
大月書店は、新聞広告にもこの本の宣伝を出している。
折しも、共産党前議長不破哲三の本が競合する格好で出て来た。これまた願ってもないことだ。不破の本は、新日本出版でなく平凡社から出ている。私はどこの出版社から出ているのかも少し気にする。『マルクスは生きている』は平凡社新書10周年記念の1冊だ。目次を読み進むだけでこの本の面白さが分る。
体力はなくなってきているが、知的好奇心が衰えていないことは私の救いだ。それどころか好奇心を失って老境にいる友を私は可哀相に思うこともある。死ぬまで知識を増し続けるのが幸せと言うものでないか、と私は己に言い聞かせる。
私は、聴濤弘にメールした。「読みました。面白かったです」
聴濤はメールを返して来た。律儀な人だ。
「また中国に行こうと思っている」聴濤のメールは、こう結ばれていた。


← 前の回  次の回 → ■ 目次

■ 20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ トップページ
アクセス: 15911