7 繕い物
年を取ってから、いささか情ないことだが、冬場の対応で少し弱気になっていて靴下を穿くことも多くなってしまった。 靴下を履かなければ、諸々の繕いも殆どない。ところが、下駄履きで踏ん張るからだろうか、五本指靴下の人差し指と中指部分が薄くなってしまう。 ハルビンでも蘇州でも、酷く破れたりすると、便利屋的に道路辺にミシンを出している人の所で修復して貰うことが出来ていた。 ここ泰州では、ずらりと路上にミシンを並べる人が10人近くもいるのに、こんな繕い物はしてくれなかった。 となれば結局、日本でいつもしていたようにここでも針箱を取り出した。 ところが、悲しいかな針に糸を通せなくなってしまっていた。歳を取ると言うのは、具体的な個々の場面で痛感させられるものだ。 折りよく遊びに来た孫のような学生が全ての針に糸を通してくれた。後は、この「孫」より私の方がうまく出来る。 靴下でも下着でも、何年も使えば生地が弱くなるのは当然なこと。私と似ている気がして一層丁寧に私は繕う。
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