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作品名:フツウの顔の中国 U(2010年) 作者:あるが  まま

第6回   6 礼儀
6 礼儀
   
 中国のあちこちで経験したことだが、教室でも職員事務所でも大半はコートを着たままである。部屋の暖房を考える余地は少なく、厳しい寒さのままの現実が前提なのだろう。それに加えて慣れ性からか、時々の温度差を気にしてないようにも見える。
だから他人の家では脱ぐものだと言う礼儀作法も生れようがなかったのだろうか。とすれば、今の学生たちの責任でないかも知れない。
それでもやはり理解に苦しむ。「日本人の家に行ったら、コートや帽子を脱いで上がらせて貰うものだ」と私が説明すると、「分った」と答えは返って来た。でも誰も脱がない。
寒いなら「寒いから」とか言えばよさそうだが、私の意見を無視するごとく黙って座り込んだままだった。
この鈍感さは何だろう。婉曲な表現を理解できなかっただけも知れない。
いずれにせよ、この種の学生達は日本企業に勤めることはできまいと、ここでも思った。
私ら日本人教員の役割である。


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