19 井上ひさしの『組曲虐殺』
上海でいつも泊る宿舎で、5月9日(土)の夜遅く、偶然なのだがNHKbs2をつけた。井上ひさしの業績紹介が放映されていた。 その紹介の後、彼が亡くなる前に書いた『組曲虐殺』の実舞台の撮影分も放映された。私はその全てを観た。4時間に及ぶ番組だった。 私は学生の頃から『小林多喜二選集』も買っていた。その後も尊敬し続け、『多喜二祭』などに参加したこともある。 この多喜二を井上ひさしが書いたのだから嬉しい。多喜二が主人公の芝居を、この中国で最初から最後まで観ることができたのである。運がいい。 劇中のセリフで国家権力がぬけぬけ言う。「もう少し穏やかにして長生きする方が読者も喜ぶ」の類だ。この言葉に、自惚れの強い多くの輩が牙を抜かれて来た。「処世」術でもある。 私は多喜二に及ぶことなど何もないが、せめて彼が貫いて来た生き方を学び、なぞりながら生きていたいと改めて思った。井上ひさしが願った「憲法9条を守る会」に参加していきたいということもその一つの積りだ。
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