17 重ねての餅の話
これまでこの泰州での餅搗きでは、先っぽが日本のすりこ木よりも細いものを利用する外なかった。棒の先がせめて子どもの野球バッドくらいの大きさがあれば、もち米をもっと美味しく搗けると、その都度、思っていた。 この私の気持を聞き知って、娘婿は私のための餅搗き用具を作って中国に行く人に託してくれた。見事な昔懐かし、砧打ちの形だ。(だがこの名前は思い出せない。) 道具が何であれ餅米が蒸し上がった時の匂いは同じだ。でもどこかが違っている気もする。「もち肌」と形容される餅特有の滑らかさを私は作れない。それは、搗く回数と杵の重さが決定的に違っているからだ。 しかし、それだけでないか知れないと思うようになった。土楼で有名な客家(ハッカ)には日本と同じ台がらがある。そこの餅つきは日本と同じ方法だろうが、私の知る周りの中国の餅(ニエンガオ)は粉にしてから蒸して固めているらしい。もち米もそれに相応しく改良されてきたろうから、「もち肌」にならないのも我慢すべきかも知れない。
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