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作品名:春節前後を行く《旅は遥かなる記憶を蘇らせる》。 作者:あるが  まま

第6回   6 タクラマカン砂漠  (春節4日前) 
6 タクラマカン砂漠  (春節4日前)
 
私のタクラマカン砂漠縦断は夜であったために周りの景色は見えなかった。大型バスのヘッドライトに照らされたまっすぐの道、砂漠公路は前方の闇が覆いかぶさるようにしていた。道路の両側には苦労して植えられていた草や小灌木が点々とではあっても途切れることなく公路全線560qを貫いているらしい。
 明るい時にもう一度確かめたくなる魅力がそこにあった。
砂漠を抜ければ民豊に出る。昔ニヤと呼ばれていた所だ。そこから崑崙山脈の北麓、タクラマカン砂漠の南側を抜ける古代のシルクロード南路をバスは走り終着駅である和田ホータンに辿り着く。そして、私は休憩することなく、待っていた感じのカシュガル行きにバスに乗り換えることが出来た。古来有名であった皮山、紗車、英吉沙など所々のオアシス町に停り、人を下ろし人を乗せながら、ウイグル族の生活を丸ごとバスは取り込んでいく感じだ。オアシスが切れたら小植物はあれども砂漠に似た姿を見せている。
 カシュガルに着いた。ウルムチからも経度で15度も西になる。
この一日半で、長年試みることの出来なかった二つの目標、天山山脈越えとタクラマカン砂漠縦断を一気に敢行しての中国最西の都市カシュガル到着であった。
カシュガルの中心だとして旅案内に記してあるエイティガアル礼拝堂はこの地の最大のものだと言う。これまたシンプルなたたずまいだ。広い前広場や建物の中は、特別の日には信徒でいっぱいになるのであろう。
初めてで苦労したこともある。この数年中国の色々な宿に大した苦労もなく泊ってきた。たが、カシュガルでは外国人ということで宿泊拒否されたのだ。やっと中林賓館と言う名のホテルで許可された。新疆の他地区と違ってここでは外国人を一定の場所に囲う昔のしきたりが生きているのだろう。
私個人とすれば、ホテルをいくつも断られてみれば、居辛い町でもある。長居は出来ない。


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