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作品名:春節前後を行く《旅は遥かなる記憶を蘇らせる》。 作者:あるが  まま

第5回   5 天山山脈

5 天山山脈・ 

(春節5日前)
初めて見ることの出来た天山山脈。北側には生き物の気配が感じられない。頂上を越えて南側に廻った時、草が点々としていた。これも自然の摂理である。私が学生時代に「緑のタクラマカン砂漠」を夢想していた時、同じ北大応援団に属し自ら「天山・テンシャン」を名乗っていた仲間、N氏はこの無機質の世界を既に知っていたのだろう。飄々としていた彼は結局テンシャン山脈でなくアフリカを放浪しながらスワヒリ語をマスターしていた。そして大阪外国語大学の教授の仕事を勤めた。彼の過去と今を思い描きながらの天山越えだった。
現実に戻る。
 水は黒龍江省でも貴重なものであった。
新疆のこの辺、天山山脈の麓では、井戸を掘る時期もあったらしいが、今は水道水が提供されている。天山山脈の麓から15,6qの地下を流れてきた水は各家の地下のパイプでつながっている。この地域で試行錯誤の繰り返しが続いたが、現在の安定した状態になって15年は経つと言う。顔を洗い口を漱ぐ。粗末になんか出来ない。
そんなことを知らされた上でだが、バスは一気に砂漠に向った。


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