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作品名:春節前後を行く《旅は遥かなる記憶を蘇らせる》。 作者:あるが  まま

第2回   2 ハプニング続きの旅立ち (春節8日前)
2 ハプニング続きの旅立ち( 春節8日前)

 事実、最初から予測外だった。そのハプニングの度に、私は中国人のお世話になる。とりわけその一人である若い女性は、年老いてオロオロしている私のことを心配してくれた。
 不思議な巡り合わせを導いてくれた「私のウルムチ」での一夜そのものは淡々と過ぎようとしている。
いつも通りの中国語だけでなく、翻訳の可能性を気にせずに日本語で書く気になったのは、憧れの地の訪問と言うにとどまらない。私には文字通りの「冥土の土産」になり得る大いなる意外性の旅になる予感がしているからだ。

朝早く起きて、食事し、風呂に入り、衣服の洗濯をした。
これまたいつもの如く管理人室に、旅からは半月後位に戻る旨、伝えに行った。
そして、タクシーを捜した。ホテル前の道には一台の三輪車が客待ちしていた。10元と言う。だったら同じ10元のタクシーの方が早く着くし安全でもある。ところが来ない。件の三輪車の運転手は8元にするから乗れと勧める。で乗った。彼らはある部分は詳しくある部分では私より街中のことに疎い。知っていると言っておきながら曲がっていけない所で曲がろうとした。これで行くと通行止めに遭い遠回りせざるを得ず時間がかかる。私が指示することになった。変な感じだ。
無事東方航空ビルのバス発着所に着いたのだが、既に券は売り切れてないと言う。春節時期はそれが常識らしい。でも私が理解に苦しんでいると、隣にいた韓国人青年がアレコレ聞いてくれた。これが功を奏して私はこのバスに乗ることができ、無事に紅橋飛行場に着くことが出来た。
ところが飛行機はまだウルムチにいて上海を発つのは5時間後になるので取り敢えずは航空会社が用意するホテルで休憩していて欲しいという。
 何だかことの推移を見極めたくて、少しわくわくしてきた。野次馬の感覚でいては急ぎの客に申し訳ないけど、私には時間が無限と言っていいほどにあるからだ。

 部屋に入ってパソコン入力を試みようとして気づいた。コードがない。忘れてきたのだ。私の不注意が初日から露わになっている。買いに行くしかない。急ぎ店を聞いて出かけた。でもそ近くのその店には、パソコン用はないと警備員が言う。軽軌で徐家匯に行き、数マ広場に行けばあると親切な指示。時間はまだある。急ぎ軽軌に乗りすぐ乗り換え6駅先で降り、しかるべき店に向かった。事実すぐにも見つかった。「ソニーだったら高い」、と最初から吹っかけれていることが分った。でも拒否して交渉する時間の猶予はない。言われるがままに490元の大金を払って、急ぎホテルに戻った。
 ところが、私が聞いていた18時40分は、ホテルからバスが出る時間ではなく、飛行機が飛ぶ時間だという。その説明ではなかったはずだし、計算上からもありえない時間だ。が、客の皆は既に乗っていて、いわば私が戻るのを待っていたことになる。
 申し訳ない気持も少し抱きながら空港に向かった。
 検査は済んだが、搭乗口にウルムチ行きの指示はまだない。とまれ待つことにした。
その時、荷物の機内持込に関し日本語で話しかけられた。てっきり日本人と思ったがそうではなかった。
 日本の富山に半年いたこともあると言う社会人だった。呉雲燕。この彼女と関れて私の旅は一層ドラマチックになっていきそうだ。有り難い人と巡り合えた。
 夜着いた新疆のウルムチだったが、雲燕の案内もあり、さして苦労することなくホテルも確保できた。


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