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作品名:春節前後を行く《旅は遥かなる記憶を蘇らせる》。 作者:あるが  まま

第14回   14 またウルムチに戻る   (初6)
14  またウルムチに戻る   六日目(初6)

 昨日断ったタクシー運転手が部屋まで迎えに来た。行きたくないと応えてワープロを打ったり、これまでこれからをぼんやり思い浮かべたりした。ともあれ、明日雲燕に会える。
 食事し、インタネットカフェで3時間ほど過ごし、バスセンターから柳園に向かった。改めて柳園までのまっすぐの道を磁石も使って確かめた。130qの前後計10qを除くと、微調整風の4,5箇所でのわずかな曲がりはあったが、地図上で一直線に示されている通り100qの殆どが矢張りまっすぐの道であった。
 列車の中はごった返していた。無席の客が狭い寝台車の通路にひしめいている。それでも寝台車上段の券の買えた私は、彼らの羨望を背中に感じながらよじ登った。いい夜が送れる。

 朝8時半と言っても、ウルムチではまだ真っ暗であることを着いて思い出した。ご飯を食べ、その二階にある休憩所に10元払って1時間半ほどを過ごした。
 休憩室を出、バスで航空会社のある所に行った。会社の受付嬢は言う。リムジンバスは今はない。また航空券の変更も出来ない。楽しみが一気に失せた。それでもホテルを探すことにした。煤炭招待所と言う奇妙な名前が目に付いた。
 一度荷物を置かせてもらって八楼を確かめに行った。一頃流行った刀郎の歌『2002年の初雪』で出て来る場所の名だ。この八階建ての意味は崑崙ホテルが当時珍しい八階建てを作ったことに由来するらしい。そして八楼は既に地名にもなっていたのだ。その十字路の食堂で昼ご飯を食べながら店の主にそれらの事情も尋ねた。
 2路つまり2号線に乗ってみた。途中で降りて、飛行場に行くことにした。タクシーで30から50元する距離をバスだと1元で済む。しかしどのくらいの時間がかかるのかは人によって大きく異なっている。40分もの旅だった。面白かった。でもこれでは雲燕の役には立つまい。自分は前日に飛行場間近まで来て宿を取ろうと思った。
 帰りにウルムチ市民族博物館を訪ねた。しかし、春節休暇だった。新疆では春節が無関係だったはずだが、漢族が責任を負っている博物館だから休館になるのだという。
 雲燕からすぐ着くとの連絡。ホテルの部屋もなくなり、急ぎ自分の荷物も持ってバスセンターを目指した。悲しいかな一度確かめていたはずなのに、逆の道を急いでいた。
 30分ほど遅れて無事再会した。
思惑が外れてしまったので、また西部ホテルにお邪魔することになった。雲燕も同じだ。
 近くの食堂で腹いっぱい食べた。「最後?の晩餐」としての85元は安い。
部屋に戻ると彼女は塩池への行き方を聞いてくれた。お土産も貰った。手作りのマーフア、ジアンミーティアオと新鮮保存されている葡萄だ。


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