20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ
 ようこそゲストさん トップページへ ご利用方法 Q&A 操作マニュアル パスワードを忘れた
 ■ 目次へ

作品名:春節前後を行く《旅は遥かなる記憶を蘇らせる》。 作者:あるが  まま

第1回   1 つながり
1 つながり 

 タクラマカン砂漠のことは、私が大学生の時、詩にも書いたことがある。想像と現実の比較は、私の個人的楽しみでもある。
私たちの子どもの頃はテレビがなく、ラジオ放送で連続ドラマを聞いていた。小学生の頃だが、そのひとつが『新諸国物語』。そのシリーズで私が聞いていたのに、「笛吹き童子」「紅孔雀」、「オテナの塔」、そして今話題にしようとしている「七つの誓い」があった。
この「七つの誓い」は日本の室町時代頃と思われる話だが、中国と日本にまたがって話は展開する。
その時砂漠が出てきた。それがタクラマカン砂漠。自分はそう思って地図を何度も見ていた。だからウルムチと言う都市もその種の地図で覚えていた。タクラマカン砂漠を緑に変えるのを私の生涯の仕事にしたいとさえ思っていた時期もある。
文化大革命でその夢は断たれて高校の教員になった。今中国で仕事をしているのは、子どもの頃の夢にほんの少し近づくためでもある。そういう昔々の話になってしまうけど。理解して貰うのは難しいのかも知れない。
しばしば話題にもなる中国内陸部、西の地域、新疆ウイグル自治区の様子も私なりに伝えることにもなろう。
 兎に角、私はウルムチ行きの列車の切符を求めた。三日間並んだ。でも買えなかった。仕方ない。飛行機を使うことにした。どこまで飛ぶかで少し迷った。が、小学生だった私がタクラマカン砂漠と共に記憶していたウルムチだけを選んだ。最初と最後の上海ウルムチ往復券だけを買い、その間は気ままなバス旅にすることにした。予測できなかったことでもそのまま受け入れて旅をしようということだ。


次の回 → ■ 目次

■ 20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ トップページ
アクセス: 145