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作品名:フツウの顔の中国 作者:あるが  まま

第2回   2 安徽省黄山
2 安徽省黄山

<3>「黄山の人」
 中国に戻っての最初の旅は、日本の「卯建つの発祥地」とされる安徽省黄山のAさん訪問。『つやざきまっぷ』紹介と「中国語版」発行報告のためだったが、このAさんは、私の小説『玄海を跨ぐ』中で、勝手に「高田陽子」のモデルにしていた人。東京の人だが中国に家も仕事場も持ち、日本と中国を行き来し半世紀以上、商売と共に日中友好運動も進めてきた。
 私が母親のように慕うこの人は、福岡県津屋崎の東郷公園に行ったこともある由。東郷平八郎について「戦争は嫌」と明確だが、日本人個人としては尊敬したいと言う。小説の中で、「高田陽子」は津屋崎の藍の家を訪問し主である「富美子」と言葉も交している。私の想像よりはるかに豊富な体験談を、実際に藍の家やなごみ館などで沢山の人が聞けたらいいなと改めて思った。

<4>「若返り」
 尊敬するAさんは83歳。二年前中国を去る際に安徽省黄山の家を訪ねた時より、今回ずっと元気に見えた。その一番が足の快復だろう。プールで歩いてよくなしたのだと言う。
 私は時々右膝を痛める。三年前の蘇州の一年間は杖を突いて過していた。また悪くなるかも知れないことを心配した阿部さんは、骨粗しょう症対策の一つとしてスキンミルクも私に勧める。ずぼらな私を朝、歩くことが大切だと大河の岸の公園散歩にも連れ出した。
 しげしげ顔を見てると艶もある。若い頃はチャイナドレスで店にも出、トラックを運転し、人を使っても来た。建国15周年記念式典で天安門の壇上に立てた程の実績、面倒見のよさは今尚健在。交流を求める旺盛な好奇心が、私と同年代並みの若さの秘訣なのだろう。


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