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作品名:『父の里の牛のように・「福岡拘置所3泊4日の旅」・丑の年の素敵な研修』 作者:あるが  まま

第16回   16 印刷にあたっての あとがき
印刷にあたっての あとがき

 年に一度発刊の長大機関誌『Pへの道(T編集長)』の存在を紹介して戴いたS氏から、韓国の詩人・ユン・ドン・ジュのことを教えて貰った。同志社大学在学中に治安維持法で捕まり、獄中で亡くなった人である。詩の中味以上に興味をそそられたのは、この詩人が亡くなった場所が福岡拘置所であることだった。当時とは全く建物が変わってしまっているが、私が十年以上も前に『旅』をした同じ福岡拘置所で、15年戦争の最末期(1945年)に殺されていたと言うのである。

 私は、これまた恥ずかしいことだが、ユンドンジュを知らなかった。
 S氏に借りた詩集をパラパラ読みした。私の好みではない。だが、嫌いな部分もあるわけではない。そうこうしている内に、私の従兄弟のF氏から、『ユンドンジュの詩を読む会』の案内が届いた。ユンドンジュの存在そして彼の終焉の地を知ったことで、「福岡拘置所」を特別の気持ちで見てしまう、と言うのは、紹介者S氏である。私も同感することが出来る。

 折しも、福岡拘置所からの看守巻き込み脱走未遂事件は結末を迎えたようだ。事件発覚の時、堅固に見えたあの獄舎から実際に逃げかけた者のいたことを不思議に思ったものであった。
 ともあれ、閉鎖されたこの空間を通り過ぎていったであろうユン氏ら様々な人達のことも考えてしまう。

 本題の「印刷」にまで至った昨年の話に切り替える。

 数年前だが初めてこの『Pへの道』に投稿する機会を得、色んな形で表明していた福岡の教育状況の一端を、それなりの形で投稿することが出来た。翌年は校長旅費の開示請求に対する県教委の「非開示」処分の不当性を述べてもいた。
 その投稿以後も、形を変えて様々に校長旅費問題の開示請求をしてきたが、その際、コピー代一枚35円の高額に抗議してコピー代の一部の支払いを拒否していた時期がある。

 そこへ県からの請求書が来た。「支払いが遅れると差し押さえることがあります」とある。思い出した。12年前の私の『旅』は、この言葉に「惹かれた」ことから始まったのだった。実際には「差し押さえ」は来ず、結局は「労役に処す」というのがやって来ていた。
 当局側は脅して義務を全うさせようとした積りかも知れないが、好奇心は、次を求めた。そんな12年前を思い出したりしたものだ。


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