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作品名:幾重に重なる 作者:

最終回   始まりの全て
少年は山で友人と遊んでいた。

ふと木の影に日記らしい物が落ちているのを見つけた。





もうどの位になるのか。

天井から見える空の色から今は昼なのか夜なのかを判断する。

ここは暗いから。

ここに来てからそれを壁に記してきた。
今は4520日目だ。

全てを明かそうと思う。

体とは便利な物でその環境に応じて変化してくれる。

特に暗闇でもわたしを取り囲む石、それのとても細かい模様までもはっきりと見える様になった。

それに耳が異常に良くなったのか、虫の話声までも聞こえる。


ここには鏡は無いから自分の姿は見れない。
毛という毛は伸び放題できっと体臭も凄いだろうが、私は麻痺している為気にならない。


私はこの生活を気に入っている。


他とは関わりを持ちたくないからだ。

関わると面倒な事ばかりじゃないか。
くだらない討論をして結局現状維持。
なんも解決していない。

私は自決しようとしたよ。

でも思ったんだ。
別にいつでも出来る事なら今やる必要は無い。

なんて馬鹿な事を考えていたんだ、とね。


それで穴をほって崩れないように周りを石で固めた。

そう、まるで井戸の様な感じだ。

自力で出れたらつまらないし、土が崩れて死ぬのもつまらないから計算して作ったよ。


初めは不自由だが慣れればそんな事もない。


そして暇を持て余した私は、ここのレプリカを作ろうと思ったんだ。

それはもう寝る間も惜しんださ。
何回か失敗してはやり直した。
何度この球体を壁に投げてやろうと思ったか。


そして2452日目にやっと完成したんだ。


この球体に大量の液体を入れて、そこには数え切れない数の生命体を入れた。
それはもう楽しかったよ。

そして常に美しい状態にする為のプログラムも完成した。

これが一番苦労したんだ。
一度は球体の中が炎に包まれた事もあったな。


今は私もその球体に入りたい位に良く出来た。

私には小さ過ぎるのだが。

そこで断念した私は、私とそっくりな姿形をした生命体を球体に入れる事にした。


そう人間と呼ばれる生命体だよ。
後は知っての通りさ。


この球体の中なら違う世界になると思ったのだが。





もうこの球体壊れてしまうよ。

私の世界ももうお終いだ。






読み終わると、友人の呼ぶ声がした。
少年は日記をほかって友人の元へと向かった。


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