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作品名:日々、淡々と 作者:

最終回   眠り姫





目を開くと現実が襲ってくる


たまにいい夢をみる。

その中にずっと永遠にとどまりたくなる。

苦痛や悲しみ、喜びや幸せは時として現実の感覚よりも多い。

たまにいい夢をみる。

その中にずっと永遠に止まりたくなる。


現実もその通りにいけば楽しいのに。


夢の中では自分が制限を設けないかぎり、何でも可能。

さっき見てた夢の続きを見たくてまた寝ようとする。

初めはなかなか寝ることが出来ない。
でも、何度も何度も繰り返すと夢の続きに辿り着ける。


その時はただの夢。


しかし繰り返していくと稀に夢の方から呼び出してくるらしい。





赤い煉瓦の家。
煙突からもくもくと煙があがる。

椅子を傾かせながらテーブルに乗る猫とじゃれる。

今日は学校で何があったとか、猫はネズミを二匹仕留めたとか他愛もない話。


猫は得意気な顔で少女の前にネズミを差し出す。

少女は驚き椅子から転げ落ちる。

少女の体をゆするが返答はない。

やり過ぎたとため息を吐く。少女を口に咥えてベッドに移す。


気を失った少女の横にいき、体を丸くして目覚めるまで待つ事にした。


少女は夢の世界にいた。

たまに見るのだがいつも同じ夢。同じ場所。

立ち上がると少女は鏡を見た。

背も高く、胸も膨らみ大人の女になってる事に満足する。
理想が夢の中では叶う。

いつも隣りのお姉さんを見て羨ましかった。


ドアが突然開きおばさんが入ってくる。


いつも決まってそう。

この夢を見る時はおじさん、おばさんと三人でご飯を食べる。


時には外国人が沢山いるお洒落な店。
時には着物を着た女性が料理を持って来る店。

夢の中では色々な店や物、人がいて楽しかった。


少し嫌なのは猫に話しかけても無視される事と、空を飛べない事。


夢の終りにはいつも引き込まれるような眠気がくる。








目がさめると猫が顔を覗き込んでいた。

撫でるとさっきはやり過ぎたと謝る。


少女は空に浮き手を出す。
猫はムッとしながらも手のひらに飴玉をおいた。




ある町に一年の内に数回しか起きない女がいた。


その度に彼女は空が飛べない、猫が無視する、と言うのだとか。


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