…カチャ… 静かに音を立ててドアが開いた。 顔を上げ入ってきた人物の顔を見てみると、何か見覚えのある顔だった。 男であった。 後ろには部下らしき男が2人いた。 ボスっぽい男と目が合ってしまったので俺は下を向いた。 眠らされてここまでつれてこられたんだから次は殺されるのか? と考えると急に恐怖がこみ上げてきた。 そして男が重い口を開いた。 「悪かった…」 「ここから脱走したやつがいたんだ、そいつとお前が似ていたもんだったから。」 「だが違ったようだ、申し訳ない。」 男は頭を下げた。 俺は殺されないとわかるとほっとした。 「俺は佐々木剛、ここの防衛拠点の司令官だ。」 男は俺が聞いても無いのに名乗りだした。 「お前は?」 名前を聞かれるのなんて久しぶりだな、と思いながら俺は「佐竹歩。」と答えた。 佐々木は「サタケアユムか、と外人のカタコトの様に俺の名前を復唱していた。 「ここは何のためにあるの?」と俺は素朴な質問を佐々木にした。 すると佐々木は厳しい表情をし「あの化け物どもから身を守るためさ。」 と静かに言った。 何故か俺の口は勝手に動いてしまった。 「ここで一緒にあの化け物と戦わせてくれ。」と これが俺の身を滅ぼしていく事だと思わずに。 この軽い俺の一言がこの世界をさらに終焉に向かわせたのかもしれない…
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