俺は科学者どもがいる日本に行く事を決意した。 だがこのアフリカから日本に行くのは楽じゃない。 だけど良い科学者もいるもんだ。 試作品だが瞬時に行きたいところに行ける装置があるらしい。 それで日本に行く決心が付いた。 と俺は胸を撫で下ろした。
その晩、俺は全くと言っていいほど寝付けなかった。 まあそうか、これから死地にいくのだから。 くだらない自問自答を繰り返しているうちに夜は明けかけていた。 時刻は午前5時、まだ皆は寝ているであろう。 皆を巻き込むわけには行かない。 俺はそう決心していたので誰にも言わなかった。 ちょっと早いが俺は日本へ旅立つため例の装置のある小屋に向かった。 小屋までは歩いて10分くらいだが今日は1時間ぐらいに感じた。 何だろう?この妙な胸騒ぎは…さっきからずっとやな予感がする。 小屋の科学者はまだ寝ていた。 昨日教えてもらったとおりに自分で装置の準備をした。 そしてついにこの瞬間が来た。 日本に行ったらすぐ「あいつら」に見つかるかもしれない。 だが俺はそれを覚悟した。 この魔の薬を作った科学者に復讐ができるのなら… 自然と俺のスイッチへと伸びる手が止まった。 恐れているのだ、俺の頭は。 だが脳からの警告は無視して俺は起動スイッチを押した。 強い光で俺の目は眩んだ。 それと同時に俺の目の前は真っ暗になった。
気づくと俺は浜辺に横たわっていた。 口に砂が入ったんだろう、口の中がじゃりじゃりして気持ち悪い。 幸いにも気を失ってる間に「あいつら」に食べられなくて… それにしてもここはほんとに日本か? 人が全然いない、と言った自分に瞬時に自分がつっこむ。 そりゃ居ないか…やはり「あいつら」になったか食べられたかだろう。 じゃあ何で科学者たちは日本に居れるんだ? その瞬間あのメモリースティックに書いてあったことを思い出した。 「あの研究所は地下にある」 俺はこの研究が世間にばれないような目的だけじゃなく「あいつら」に気づかれないようにする隠れ家だったんだ、と思った。 だが何故そんなに科学者たちは東京にこだわるんだ? また新たな疑問が生まれる。 そんな俺をがっかりさせるような看板が俺の目に入った。 「博多ラーメン」 博多って福岡じゃねーか。 俺は一気に脱力感に襲われる。 あの装置は日本には連れてきてくれたけどこんな所に連れて来てくれちゃったわけか。 脱力感からいらいらに変わる。 だが俺にはこのいらいらしてる時間がもったいない。 今この瞬間もまともな人間が「あいつら」に食べられてるかもしれないのだ。 俺は浜辺から立ち上がり空を見上げた。 空を見て見ると雲の上だけは平和なんだろうな、と言う事さえ感じられた。 そして俺は砂浜を歩き始めた。 東京向かって、大勢の人間のために…
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