走り出した俺は近くにあった車に偶然キーが差しっぱなしだったのでその車を拝借した。 車に乗りエンジンをかけてみると幸いにもうまくかかってくれた。 車をまるでカーチェイスを一人でやっているように運転する俺の横でマグベス博士は今にも失神してしまいそうな表情だったので俺は少しスピードを落とした、博士がいなくては真実はつかめない。 気づけば車は銀座の町並みを走っていた。 ここに来ても「あいつら」が一人もいない、もはや「あいつら」に「人」と言う数え方はおかしいのかもしれない。 そしてついに銀座一丁目の地下鉄駅の入り口が見えた俺は車を止め自分の腰のガンホルダーに入っている銃を取り出した、こんな物は「あいつら」にまったく持って無意味だが持って行かずにはいられなかった。 俺は階段を、マグベス博士はスロープを下って行った。 下に到着すると冷たい冷気が顔にかかった、俺の目線には長い長い道がありそれの終着点まで行かないと目的地に行けないと思った。
しばらくその道を歩き続けたが一向に到着しない。 20分歩き続けようやくドアが見えた。 マグベス博士は疲れきった表情で俺の顔を覗き込んだ。 「この先にお前の求めていた答えがある、だがお前が真実を知る前にこの薬が作られた理由を教えてやろう。」マグベス博士が語りだした。 「そもそもこの薬は地球が2度目の氷河期を迎えると言う2100年に人間を生き延びさせるために作られた薬だった。だがそんなことを考えたことが馬鹿だったのじゃ。薬は研究の最終段階に入っていたがそこでつまずいていたんだ。その薬を服用させた動物の様子がおかしかったんだ。現在の「あいつら」の様になってしまったんじゃ。そんな薬を世に出すわけには行かないから日本政府は薬の開発中止命令を出した。だが金のためにこの薬をテロ組織に売った馬鹿な科学者がいたんだよ。薬を買ったテロ組織は民間企業と自分たちの身分を偽装してこの薬を売った。それが世界中に広まりこの有様だ…」 「さあ行け!お前には真実を知る権利がある」 マグベス博士が俺の背中を叩いた。 俺はドアノブに手をかけた…
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