あの戦いによって俺は「あいつら」のことをもはや化け物とは思っていなかった。 あれはただの戦争だ、人殺しだ。 俺は自分が戦いで人を殺めなくてよかった、と思いたかったがそこで「あいつら」を殺さなければ自分たちが死んでいた、と思うと俺はこの矛盾に腹が立ってきた。 俺はなんとなくここにいるのがいやになってきた。 ここにいれば自分の身は守れるだろう、だがそのための犠牲を見るのがいやだった。 こうして俺はこの城から出でいくことを決意した。 このことを佐々木に言わなければと思うと自然に足は佐々木のいる部屋に動いていた。
佐々木の部屋に着いたが部屋をノックするのには相当の勇気が要った。 だが勇気を出して部屋をノックすると中から返事はなかった。 変だ、佐々木はいつもこの部屋にいて食事などのとき意外はこの部屋から出ないはずだ。 だがさっき食堂の前を通っていた。 俺の頭に中で佐々木が死んでいる画像が映し出されていた。 恐怖を感じたがドアノブを回してみた。 鍵は開いているようだ。 恐る恐るドアを引き中を見てみると、そこには誰もいなかった。 佐々木が死んでいなかったのはいいが一体どこに言ったのだろうか… 俺は不安になった。 結局佐々木は不在だった。 その間大きな出来事もなかったのでみんな佐々木がいなくなったことに気づいてはいないようだがいつ気づかれるかは時間の問題だった。 佐々木が不在だから俺は誰にもこのことを言わずに城を出ることを決意した。
城から出て最初に目に飛び込んできたのは最初にここに来たときに見た美しい夕日とまったく同じような夕日であった。 ここからは俺一人の戦いとなる。 俺は最終目的地東京を目指して歩き出した。
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