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作品名:丘 ノ 上 ノ penguin 作者:鳴瀬羽迦

第4回   故郷 / DIN
「故郷」



知らない街の写真の

林立するビル郡

都市はどこもかしこも似ている



高速から見る

東京の風景が嫌いだった

灰色

地面がない

そう此処の工業地帯も



でも今は違う

人が作り上げたものを

愛おしく思える



街灯のない山道や荒野を抜けて

工場の夜景が見えた時

ほっとした



自分が生きてきた場所

育ってきたところ

灰色の故郷




* * *




「DIN」



街は

騒音が止まない

耳を塞いで

脳裡に

懐かしい音を

甦えらす

一音二音と

連ならせ

やがて旋律となって

ココロを包む

その音律の中に

眠りたい

眠ってしまいたい

無音

風を感じる

風を感じる肌

呼び戻されていく

混ざり合う

音の街へ

混ざり合う

街の音の中へと

この鳴り止まない

音の中に

あの音律を

みつけられるのか

ココロは

無音を奏でる





















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