「故郷」
知らない街の写真の
林立するビル郡
都市はどこもかしこも似ている
高速から見る
東京の風景が嫌いだった
灰色
地面がない
そう此処の工業地帯も
でも今は違う
人が作り上げたものを
愛おしく思える
街灯のない山道や荒野を抜けて
工場の夜景が見えた時
ほっとした
自分が生きてきた場所
育ってきたところ
灰色の故郷
* * *
「DIN」
街は
騒音が止まない
耳を塞いで
脳裡に
懐かしい音を
甦えらす
一音二音と
連ならせ
やがて旋律となって
ココロを包む
その音律の中に
眠りたい
眠ってしまいたい
無音
風を感じる
風を感じる肌
呼び戻されていく
混ざり合う
音の街へ
混ざり合う
街の音の中へと
この鳴り止まない
音の中に
あの音律を
みつけられるのか
ココロは
無音を奏でる
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