「さようなら」
新しい言葉は心の奥から 浮かび上がるのだけど
水の泡のように消えてゆく メモをとる余裕もなく
書き記すデバイスも作動しない 充電できませんと表示され
ここに浮かべた言葉たちも いつか手を離れ電子の狭間に消えるのだろう
さようなら心の欠片 何も残さなくてよいの
時代の中に分解されてゆく 土に帰るように
* * *
「雨の匂い」
あの人は私を知っているのだろうか?
私は知っている。雨の匂い。
そう感じた。すれ違い様に。
まったくの他人なのに。
懐かしさの全てを持っているような。雨の匂い。
0180302016
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