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作品名:丘 ノ 上 ノ penguin 作者:鳴瀬羽迦

第18回   夏の炭酸水 / 野良猫
「夏の炭酸水」




子供の頃は苦手だった炭酸水が今はゴクゴクと飲める。


冷房の冷たい空気が首を振る扇風機の風に運ばれ、肌を過ぎると、それは高原を思い出させた。


夏休みはキラキラしていた。あの頃は昨日や明日はなくて、いつも今日があった。


子供の頃のあの、同じ時間がいつまでも続くような感覚、夏草の香りとともに思い起こす。


いつしかその魔法もとけ、そうして時計の針が進むままに押し出されていった。次へ、明日へと。


生まれた日からここまで、自分は自分であっても、好みも変われば、感覚も変わる。象る細胞も始終交代したり零れていったり。


地球も刻々と変化している。季節の習慣も人が創り上げた文化さえも、星の時間にいつか呑み込まれるのだろう。


あのキラキラした夏休みが思い出に仕舞われたように。






* * *






「野良猫」




死にたいとは思わないけど
生きたいとも思えない


シュレディンガーの箱の中
蓋を開けた人がみつけてください


運命の采配を受け入れるしかなくても心の奥で奇蹟を願い
矛盾する感情をどうしたらよい


力が抜けていくのを感じる
望む風景はもうどこにもないのかもしれない


原点に還るだけなのか
生きるということは











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