「ライフワーク」
小学校の入学祝いだったか
父から革表紙の日記帳を手渡された
幼い子供の手にはずっしりとした
もったいない宝物のようだった
私は日記をつけ始めた
書くことが楽しくて
いつしか綴るものは
それは詩になった
私はずっと詩を綴り続けた
その日記帳を失っても綴り続けた
学習ノートにもメモ帳にも
教科書の隅にも
突然に詩を忘れた季節もあった
自身が変わりたいと願った時
自身が変わるという意味を
履き違えていたのだと思う
病に倒れ
もういちど詩うことを取り戻し
いろいろなことに気づかされた
何も変わらない
それでよいのだと
一回りして
心の奥には気づきが生まれて
それでよいのだと
そう嘘の大地には何も育たないのだから
* * *
「Strings」
何かを残したくて
永らえたのではない
何も残したくないのが
ほんとうの気持ち
それでも詩うのは
生き物に生まれ変わりはないと思う
ただ同じ想いを持つ誰かの胸に
そこに自分も居るような
それはいつかのどこかの時代かも知れず
だから詩うのかな
生まれ持つストリングスを
奏でるように
ノイズを放ち続けたい
命のある限り
(0160319/09)
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