20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ
 ようこそゲストさん トップページへ ご利用方法 Q&A 操作マニュアル パスワードを忘れた
 ■ 目次へ

作品名:丘 ノ 上 ノ penguin 作者:鳴瀬羽迦

第12回   弥生 / evolution
「弥生」




まだ雨は冷たくて

白い息の朝



それでも暦は

春を告げ



木々は芽吹く合図を待つように

新芽を膨らましつ佇む



早咲きの花たちが震えるように

冷たい滴に身を寄せ合い



凛と咲く高木の

白木蓮の花びらが雨に落ちた



時を刻む音に耳を澄まし

遷りゆく世界をみつめ



人も新しい生活を迎える仕度を

期待と不安に揺れながら



まだ雨は冷たく

手はかじかむ



でも春はあらゆるものの内から

今にも溢れようとしている





* * *




「evolution」



編隊を組み飛ぶ鳥たち

一塊となって泳ぐ魚たち

命を繋ぐその智慧を

人はどうなのでしょうか

人は智慧を失ったのでしょうか

やがて枯れてゆく棲家

誰も逃れることのできない

その自然に任せること

忘れてしまったのでしょうか

目に映る世界を自分として感じること

飲まれてしまわないように

宇宙は記憶する

貴方の哀しみを己のこととして










(0160314/0160311)


← 前の回  次の回 → ■ 目次

■ 20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ トップページ
アクセス: 9122