「弥生」
まだ雨は冷たくて
白い息の朝
それでも暦は
春を告げ
木々は芽吹く合図を待つように
新芽を膨らましつ佇む
早咲きの花たちが震えるように
冷たい滴に身を寄せ合い
凛と咲く高木の
白木蓮の花びらが雨に落ちた
時を刻む音に耳を澄まし
遷りゆく世界をみつめ
人も新しい生活を迎える仕度を
期待と不安に揺れながら
まだ雨は冷たく
手はかじかむ
でも春はあらゆるものの内から
今にも溢れようとしている
* * *
「evolution」
編隊を組み飛ぶ鳥たち
一塊となって泳ぐ魚たち
命を繋ぐその智慧を
人はどうなのでしょうか
人は智慧を失ったのでしょうか
やがて枯れてゆく棲家
誰も逃れることのできない
その自然に任せること
忘れてしまったのでしょうか
目に映る世界を自分として感じること
飲まれてしまわないように
宇宙は記憶する
貴方の哀しみを己のこととして
(0160314/0160311)
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