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作品名:丘 ノ 上 ノ penguin 作者:鳴瀬羽迦

第11回   自我 / for an instant
「自我」




消えてゆくだけなのだと

深まる夜の静けさに想う

悲しい思い出ばかりでも

その意識は貴く愛おしい

真昼の空の青さに焦がれ

真空の闇の深さに怯えた

何者であるのかと求めて

何者でもよいのだと諦め

君がいたから命ながらえ

君が越えゆくを見届けて

私は今ここにしかいない

目を閉じれば存在しない

私は今ここにしかいない

その意識は貴く愛おしい





* * *





「for an instant」




好きなものを思い浮かべる

窓辺の陽だまり

庭の花

お気に入りのソファ

日々の中にあるそれらを思い浮かべる

温もる毛布

君の声

珈琲の香り

温かな暮しに包まれている

その瞬間の

やがてどこかに折り畳まれゆくものたち









(0160226/0160226)


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