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作品名:繋ぎあわせる物語 作者:鳴瀬羽迦

第96回   〜 short interval of silence 〜






  私たちは時のシロップには漬かっていない






* * *  






「131023」

風に髪が絡む 曇り空の

おろしたてのコートを羽織った

新しい時間に合せる 空のメモリ

靴音たてて 坂道を駆け下りる

明日へのバスに乗るために





「fizzy」

世界がこの手の中にあったなら

全てを夢と終わらせたい

炭酸水をゴクッと呑み込んだ刺激みたい

喉の奥に弾けて





「たましいの小箱」

たましいの小箱に

この夢をこめてゆこう

いつか蓋を開けば

切なさが

またどこかで

生まれるのかもしれない





「朝顔の種」

朝顔の種を収穫した思い出

学校のプールの匂い

祖父母の暮らす田舎の

青い田圃の畦道を走り回った記憶

秋空を見上げて

なぜか幼い日の夏の風景が

ふと甦った







* * *






  時とは存在するものによって
  観じられるもの





  


  




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