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作品名:繋ぎあわせる物語 作者:鳴瀬羽迦

第9回   十二月の朝






  見たこともない 明日を見るために
            
             ココロの中に 物語りを編む






『十二月の朝』





この季節は朝の陽の光がとても好き。

目が覚めてカーテンを開けると、東の空が橙色に染まっていて、

太陽が顔を出すと、部屋の中に淡い金色の光が射し込んでくる。

しだいに部屋中が黄金色の光に満たされ、ゆっくりと暖められてゆく。

雑多に置かれた数々の日用品まで輝いて見える。

室内のずっと奥まで、その陽射しは伸びて、窓辺から離れた足元も照らす。

光の筋をたどり、また窓辺にひき寄せられ。

揺れる庭の木も紅葉の色をいちだんと輝かせているね。

掃き清められたような空の透明な水色に誘われ思わず屋外へ、そして深呼吸。

風の絵筆に描かれた幾筋もの微細な雲のライン。

西の空には眠たそうな白い月。

外気は凍みるけど、心の芯はじんわり温まる、

十二月の朝のフェノメノン。






* * *





『Lost Password』





忘れてしまった パスワード

大切な気持ちを記した開かないファイル

嵐から穏やかな風を感じ始めることできた

あの頃の気持ち記してあるはず

もう一度 読み返したいのに

あの頃の自分に 少し力を

わけてもらえたらと思ったのに

忘れてしまった パスワード

ココロから抜け落ちてしまったみたいな

ココロから抜け落ちた気持ち 何だったのだろう





* * *





  ひとつ深い層に心を置き 感じる

       季節の風に 晒されないように…




  


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