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作品名:繋ぎあわせる物語 作者:鳴瀬羽迦

第5回   アルペジオ






  温かな背中、寄り添って、鼓動を感じた。






『アルペジオ』





アルペジオ あなたが奏でる 



あの日の音が ココロを起動した 



私は 探し続けている 



ココロに叶う あの音を 



アルペジオ あなたが奏でた





* * *





   生まれてきて嬉しかったことをひとつ選ぶとしたら。
   それは、ここが音楽の鳴る世界であったことかもしれない。
   あたりまえであるようで、そうではないのだもの。
   人類が誕生して、音楽を聴ける環境が整うことは、
   そうなるまでは、一個の人間が振り返れば、
   気が遠くなるような、長遠な時間がかかっているのだ。
   きっと青い空をみることも、樹々を緑とみることも。
   稀なることなのかもしれない。
   哀しみがなければ震えるココロもないだろう。
   震えるココロがなければ、
   空の青さに、キミの旋律に涙を落とすこともなかっただろう。





* * *





  硬く握りしめていたもの 手のひらを開いて 指の隙間から零そう














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