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作品名:繋ぎあわせる物語 作者:鳴瀬羽迦

第29回   erasure






  雨雲の最初の一粒を 手のひらに 受け止めた
  空も泣きだした いっしょに泣いてもよいですか
  誰にも涙を 知られたくないから






『erasure』





最初は感情が消えてゆく

辛かったシーンが無声映画のように

脳裡に帯を描いた




恋人なんてあいまい

家族だって裏切る




繰り返された嘘に失った

失ったものはなんだったのだろう

と思い巡らすココロを




対する人々が二次元の登場人物のように

薄っぺらに見える

そのまま破り捨ててしまいたいけど




現実とはなんだろう

思考のネットワークが蜘蛛の巣のように

惑星を覆っている




もがけばけばもがくほど

絡め捕られてゆくようで




怒りは静かに堪えられていた

感情の内側に

消してしまいたいのはそれ




きっと人には泣くことも喚くことも肝心

我慢はなしで…






* * *






  ある意味 現代だって弱肉強食 そういう世界
  したたかな者が 勝ち誇って行くのだろう そんな毎日















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