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作品名:繋ぎあわせる物語 作者:鳴瀬羽迦

第22回   〜 short interval of silence 〜






  コミックのように 皆の心の声が
  吹き出しになって見えたら
  面白いだろうか 苦しいだろうか。
  






* * *






「抜け殻」

ガラスケースの中に飾られた 人形

のようだった そんな生き方をしていた

人形の身体の中は 空洞 まるで蝉の抜け殻

のようだった 心は羽化して何処かへ 

飛んで 行ってしまったのだろうか

人形の身体は 乾涸び 風化し 粉々になってゆく

ようで それを見ていたのは 誰なのだろう

でも 砕けるとは 壊れることばかりではないことを 知った





      
「闇夜」

室内にはエアコンの音ばかりが響いている

閉じたカーテンの向こうは もしてかして

漆黒の闇 なのではないか と 疑う

切り取られた空間に 閉じ込められた感覚






「悪夢」

悪夢に目を覚まされた それも悪夢

いないはずの人間が 蠢めく気配に怯える

見開いた目には 何も映らない

手を伸ばし 明りを点けた これは現実?





「無」

静かに生きたい

争いのあったことなど忘れて

記憶を閉じることは簡単なの

だから思い出す呪文を投げかけないで

頭が割れそうに痛むから

呼吸が苦しくなるから

静かに生きたいの

名前も顔も知らない人になるまで

何もなかったように






* * *






  日々の通勤列車の中には
  たくさんの人生
  その物語が詰まっている。














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