コミックのように 皆の心の声が 吹き出しになって見えたら 面白いだろうか 苦しいだろうか。
* * *
「抜け殻」
ガラスケースの中に飾られた 人形
のようだった そんな生き方をしていた
人形の身体の中は 空洞 まるで蝉の抜け殻
のようだった 心は羽化して何処かへ
飛んで 行ってしまったのだろうか
人形の身体は 乾涸び 風化し 粉々になってゆく
ようで それを見ていたのは 誰なのだろう
でも 砕けるとは 壊れることばかりではないことを 知った
「闇夜」
室内にはエアコンの音ばかりが響いている
閉じたカーテンの向こうは もしてかして
漆黒の闇 なのではないか と 疑う
切り取られた空間に 閉じ込められた感覚
「悪夢」
悪夢に目を覚まされた それも悪夢
いないはずの人間が 蠢めく気配に怯える
見開いた目には 何も映らない
手を伸ばし 明りを点けた これは現実?
「無」
静かに生きたい
争いのあったことなど忘れて
記憶を閉じることは簡単なの
だから思い出す呪文を投げかけないで
頭が割れそうに痛むから
呼吸が苦しくなるから
静かに生きたいの
名前も顔も知らない人になるまで
何もなかったように
* * *
日々の通勤列車の中には たくさんの人生 その物語が詰まっている。
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