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作品名:散文詩編 HARU-NATU-11 作者:鳴瀬羽迦

第3回   虚(そら)


  息吹は分けられた きみのために
  ふたつの眼により 耳により 
  ココロに集める きみの感覚 
  そして口遊ぶ きみの言葉




たとえば、あなたが誰であろうとかまわないのだ。
たとえば、あなたの存在は高速で回転する銀河のようなもの。
その中の太陽系に暮らすのが私たち。
銀河の回転に眼を回すこともなく、日々支障なく生きている。
だから、あなたの正体を知っても、ただそれだけなのだ。



あなたは私を忘れるでしょう。
幾筋もの織り糸の一本でしかないのです。
名前も顔も忘れるでしょう。
名前や顔がなんであるのかも忘れるでしょう。
今、剥離した一片の細胞のように。
あなたは私に気づかなくなるでしょう。



私の記憶はココにしかないのです。
私は、私があなたを知るのではなく、
あなたに、私を思い出して欲しいのです。
だから、去ろうとするあなたの、その息吹を吹き返した。



人間の、生き物の、生きようとする、その力の強さの。
ふびんな身体よ。
魂はあなたのために生きるのでしょう。
あなたの望みを叶えるために。








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