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作品名:詩集 the first half of '11 作者:鳴瀬羽迦

第2回   REASON/リタイア
REASON




感傷的なココロを持って

音楽を聴くためだけに

ここに存在していることとしよう



そうすれば ほら いろんなことの つじつまが合うの



悲しい出来事も 苦しい経験も すべては

感傷的なココロを育てるためにあったのだと



ストリングスのように震えるココロに

共鳴してゆく旋律を 探し求めて 音の旅へと



もしかしたら ねえ そうだと思わない この世界のこと



明日みつけるであろう音楽と

あなたが出逢うためだけに

宇宙は始まったのかもしれないと



人類は理由を考えるのが得意だから

ほんとうの理由が未知ならば

この想いを理由にしてもかまわないよね



137億年かけて 今 あなたの願いが叶うの

震えるココロを持って 今 あなたの想いが実るの

あの日 無から生み出された あなたの想いが




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リタイア



もと居た場所に戻れないから


先に進むだけ


かつて闊歩した街も


今は別の人たちの暮らす街


たまに尋ねてみるとまるでお客さん


違う空気が流れているの


恋人たちの物語は


おんなじように繰り返されているけど


仕事の出先の途中の公園


アイスクリーム食べながら漕いでたブランコ


今は誰かの指定席みたい


空を見上げている


私も空を見上げていた


その風景は思い出になった


現役を退くとはこんな感じかもしれない


それでも前には進んでいるのだけど





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