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作品名:静夜想詞 作者:鳴瀬羽迦

第4回   紅茶と誤差
紅茶と誤差




外気を肌寒く感じた日、
帰宅すると紅茶にしようかコーヒーを淹れようかと迷う。
こんなこと、迷うことじゃないのにね、けっきょく、紅茶を選ぶ。
スリランカ製のアールグレイは、ベルガモの香りというより、
気のせいかジャスミンみたいな香りがする。



パッケージには国名の意味が印刷されていて、
スリランカとは光輝く島と言う意味なのだそうだ。(Sri=光、Lan=輝く、ka=島)
なんだか希望を感じる響き、スリランカに暮らす人々の想いだろうか。



どこの国にも、そこに暮らす人々がいて、その人達がいて国はあるんだよね。
首相や大統領が一人いたって国は成り立たない。
ひとつの国は彼らの所有物でもなく、彼らは国民が選んだ代表のはずだ。



議員達だってそうだよね、だけど、どこかおかしく思うときがある。
日本では国民の過半数が自衛隊の海外派遣を反対しているのに、
選挙によって選出された政党は自衛隊を海外に出せる法案を成立した。
年金問題も然り、多くの人が改革案にも疑問を持つ中、
公約を守るということだけが強調され、中味はおざなりのまま押し通された。



どうしてなのかな。
選挙によって選出された人達が代表となって国政に携っているはずなのに、
どうして国民の思いとは、なにか路線がずれた方向へ向っているのだろう。
立候補した議員達が誤魔化しているのか、当選後に心変わりしているのか、
選ぶ国民の目が曇っているのか。



そう言えば、選挙の頃に知人から、こんな話を聞いた。
友人に薦められた立候補者とその政党に投票することにした、って言うんだ。
その、友人はふだんからとても親切で信頼できる人だからと。
でも私はハテナって思ったよ。
だって薦めてくる、その友人がいくら信頼できる人と言っても、
立候補者(とその所属する政党)は、その友人とは違うのだもの。
当事者を、どんな人物像か政策か自分の目で見極めて選ぶべきじゃないかなって思った。



さらに思い出せば、父もだ、立候補した親戚に投票していたこと多いと思う。
さほど付き合いもなく頼まれての義理としか思えない。
これまで、あらゆる所でこういうことが多かったのではないのかな、
義理人情で選ぶというような。もしくは利己的な考えで、
自分(もしくは一団体)に有利な人達を選んできたとか。
それで、つもりつもって、めぐりめぐって、曲がりくねって、
政局が国民が思う路線とは筋違いなものになっちゃったとかも一理あるのでは。



僅かな違いが後には大きな誤差になったりするものらしい、
何かで読んだことある。



なんてね、温かい飲み物を一杯いただいてホッとひと息つきたかったのだけど、
思考は別路線を進んでしまった。
これも紅茶を選んだ故の誤差だったりして、でも紅茶は美味しかったよ。






No.041115


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