いつもの道
きれいに雑草が刈られていた。 向きだしになったコンクリートやアスファルトの剥がれ目。
雑草たちは、そんなところに芽吹き根づいていたんだね。
残された根は狭く開いた地面の中に息をひそめているのかな? こぼれ種は上手い具合に土を求めて割れた隙間に潜り込んでいる。
暖かな日には春が来たのかなと、 あわてん坊の新芽が真っ先に顔を出すのが思い浮かぶ。
そして次々と芽吹いて 背を伸ばし生い茂る。 ささやかな花の季節をすぎれば 実を結び 再び種をこぼす。
その繰り返される生きる命の力強さに 押し広げられるコンクリートやアスファルトの剥がれ目。
舗装が修繕されることもなければ いつかは雑草たちの楽園になるかな? スコップも歯が立たない硬い覆いを耕しているようにもみえて。
彼らは生きた土を取り戻そうとする大地の密やかな働き手。
No.041108
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空を見上げて
今日の雲は大胆な模様を描いて空を包むように渡っていた。 落とし穴みたいな雲間はすっきりとした空色を映す。
夜にもなれば雲間は深海の青を思わせる色に深まり、 星が澄んだ光を放つのが雲の動きに見えたり隠れたり。
千切ったような雲の端や風に伸ばされた滑らかな曲線、 なんだか心模様みたいに思えてくる、風に伝言を託してみた。
港の方向へ目を向ければ、赤い夜空。 雲のドームに都市の明りが反射している色、奇麗だと思ったことはない。
星の変わりに、飛行機がライトを明滅している。 あっちにも、こっちにも、旅客機の航路が走っている。
ときどき小型機やジェット機やヘリコプターが低空に加わって、 辺りの静けさを破る。
でも、それに馴れてしまった耳は気にもかけないのだろう。 騒音に馴れた耳は、風の声を聴かない。
No.041114
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