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作品名:静夜想詞 作者:鳴瀬羽迦

第2回   心の解
心の解




たとえば、sora。
私は、これこそが正しいという何かにこだわらなくなったよ。



その時々に、心に触れる・・・それは、
落ち込んでいるときだったら、励ましてくれる・・・
迷っているときだったら、何か気づかせてくれる・・・
浮かれすぎていたら、静めてくれる・・・
のような、瞬間、心に触れるものたちと、
触れて感じた自分の気持ちを、大切にしようって思うようになった。



心に触れるもの・・・それは、
小説の一節かもしれないし、
映画のワンシーンかもしれない、
ニュースの一コマだったり、
道端の一輪の花かもしれず、
耳を傾けた音楽の旋律の時もあれば、
友達の何気ない一言や、
ブッダの言葉や、キリストの言葉の時だってあると思う。



たとえば、sora。
これこそ正しいと言う何かが詰まった入れ物はないと思うようになったよ。



その中に入っているものが、全て私に必要なものとは限らないから。
ある時には、その入れ物を差し出す人がいて、
私は、その中のパーツを全部使ってみようと試みてもみた。
でも私にとって必要でないものもあったから、ギクシャクしてしまったのだと思う。



とても大きな入れ物に思えて、その中に自分を押し込めようとさえした。
だけど、とっても窮屈だった。
一生懸命それに合わせようとしてしまって、
心は置き去りで、自身の感受性も失せてしまっていたね。
そう、自身を向上させたくて正しいものを探していたはずなのに。



たとえば、sora。
これこそ正しいと言う何かが詰まった入れ物も、
持っている人の視線からみた場合だけのことかもしれないね。



もし手渡されたら、一度、床において他の角度から眺めてみる。
そうすると違う見え方にも気づく。
そして、その中にその時、自身に必要なものがあれば、
きっとそれは心に響いてくるから、それだけを、そっと受け取るよ。
入れ物ごと抱え込んだはりしない。



たとえば、sora。
数学の問題を解くには、正しい方程式があるのだろうけど、
心は、そういうものではないよね。






(宛てどころなき手紙より)
No.041015


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