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作品名:静夜想詞 作者:鳴瀬羽迦

第15回   存在の欠片
存在の欠片




なんとなく ぼんやりと BGMにゆだなって

生まれた時のこと 思い出していた

時々こんなふうに思い出す 一番最初の印象は

刺す針のような眩しさ

耳障りなカチャカチャいう硬質な音

肌寒さ そしてたぶん心細さ

よるすべの無い小さな自分を思い起こす

あの日の印象が淋しすぎて

ずっと帰ることばかり考えてきた

どこから来たのかもわからないまま

でも 此処が探していた場所

きっと そう そのひとつ

ぎゅっと凝縮された自分の居場所

何か此処ですべきことあるのかなと

使命感を持とうと

心を硬結びしてみた日々もあったけど

すぐにほどけてしまった

生きるままの死の底を抜け出し有頂天に達した後は冷め

ただ吹く風とともに歩んでいる

生きることで肌に感じる 星の温もり心に染ませ

心とは自分として感じる この身体の働き…

いつかあなたは気付かせてくれた

帰るところは場所ではないこと

心はそのポータルでもあるのかな…

暮しの中で等身大にものごとを考えるのは大切なこと

でも 本来の自己(それは魂か命かわからないけど)では

この宇宙すら涙の雫のように小さな一粒かもしれない

人の思考の基準のあてはまらない不思議

でも その不思議のほうがより多くを占めていて

この時空(自分)は一瞬 とても貴重な存在の欠片





No.070805


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