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作品名:電子の海 作者:鳴瀬羽迦

第3回   涼風/おもひで
涼風





冷たい ひんやりと
秋の気配が混ざる風筋が呼び覚ます


冷たい ひんやりとした
そんな海を漂っていた 淡い記憶
形になったり 形がなかったり


冷たい ひんやり
そんな言葉を 持たない時
どうやって その感触を伝えようか


どれほどの時を経て どれほどの場を踏んで
私たちの身体は造られて 魂を宿らせ 詠うのだろう


壮大な宇宙のドラマを
貴方は その背に 彗星の尾のように描いている


今 探していた場所に立っているんだ
今 貴方に伝えることができる


自分の言葉 自分の声で
囁いて 呟いて 叫んで


冷たい ひんやりした
その風に触れ 起る想いに 際立つ
生きているという 存在






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おもひで





わたしはまだ あすこにいるきがする


のどかな なつのひの かくえきれっしゃ


まどからながれこむ かぜにふかれて


がたごとがたごと ゆれている


わたしはまだ こどもでいて


まどのそとのとんでゆく ふうけいみてる


あなたがひきだしたギター


あなたがうたいだしたウタ


がたごとがたごと ゆれながら


わたしはみみを かたむけた


こころのどこかに おとなになったひの ゆめみて


わたしはまだ あすこにいるきがする










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