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作品名:電子の海 作者:鳴瀬羽迦

最終回   無題
電子の海へノイズを放とう

人の心に直結するであろう その海へ

小さな四角い窓口から キミへ







私は今も覚えている この世に生まれた その時を

あの感覚が 私の一生を物語るように思える

拭えない寂しさは あの日の肌が覚えた感覚なのだ




小さな砂袋に掻き集め詰められた粒子のごとく

形と成った私が自己という意識を持った その時の

呼吸とういうスイッチを あの日喘ぎながら起動したのだ




羊水の中で作られた光を知らない目に

突き刺さる眩しさが 今も閃光のように走る あの日の

フラッシュバックが起きる真夜中は 生まれた時間




言葉を知らない 機能だけする脳への刺激は

ノイズの中に絞り出されたかのように

安穏を剥奪され 大気に共鳴した金切り声を産声という










茶番劇の始まりなのか 人は生きる理由をみつける旅を始める







私であれる一瞬の光明 これはなにの内なのだろうか

この時間の鞘は永遠にこの部分を構成しているらしい

我々が流れているのか 我々とは何なのだろうか





電子の海へノイズを放とう

人の心に直結するであろう その海へ

小さな四角い窓口から キミへ




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